上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ13 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 62】

膵十二指腸動脈瘤破裂.Rupture of Pancreatoduodenal artery aneurysm.








膵臓(H:頭部,B:体部,T:尾部)周囲に内部不均一な液貯留を認めるが,図A〜図Dの単純CTでdensityが高く(▲)血腫である可能性が高い.図5〜図7で不明となるが,門脈(PV),脾静脈とSMVの走行と大きさを考慮すると図5と図6の↑は門脈ではなく動脈瘤と考えるべきである.膵全体に腫大を認めず,体部の一部(図3:△)と頭部(H)の造影効果が低下しているのは血腫が染みこんだ結果と解釈すれば,急性膵炎ではなく膵十二指腸動脈系の動脈瘤破裂の可能性が高い.入院直後中心静脈圧と尿量を維持するために大量の輸液(2時間で6000ml)と4単位の輸血を要した.第2病日には重症膵炎として動注療法が行われたが,その際の血管造影で動脈瘤が描出されている(図E:↑).









腹部膨満が著明になり腹腔内ドレナージが施行され(図24)大量の血性腹水の流出を認めた.4日後のCTで動脈瘤が増大しさらに明白になった(図20と図21:白矢印).図17と図18で膵尾部(T)と体部(B)は全く正常所見を呈しており,急性膵炎はなく単なる動脈瘤破裂であった可能性が高い.血管造影図Fと図Gで動脈瘤を示し(△),図Hと図Iでコイルによる栄養動脈塞栓後には動脈瘤は造影されなくなった.













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