上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ12 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 58】

急性胆石膵炎・SMV血栓症.Acute gallstone pancreatitis with SMV thrombosis.





急性膵炎の診断は容易である.図4〜図6で総胆管結石を認め(▲)胆石膵炎の可能性が高い.次は膵炎に伴う合併症がないか検索することも忘れてはならない.図8〜図10でSMVに欠損像を認め(↑),SMV血栓症である.血栓が末梢へ広がると小腸壊死を起こす可能性があり,診断がつき次第ヘパリンの投与を始めるべきである.見落とされたが,幸いに順調に経過し腸管壊死の症状は出現しなかった.





参考症例(急性膵炎):下段は同症例で3ヶ月前軽度の急性膵炎で来院したときのCTで,Early phase(早期の動脈相)とDelayed phase(晩期の静脈相)のDouble phaseの造影CTである.早期相では静脈系は不十分に造影されるので不均一になり低濃度の部分が存在する.SMVの↑はいかにも欠損像に見え血栓症と診断しかねない.しかし,晩期相ではSMVに欠損像を認めない(白矢印).静脈の血栓症を診断するときは造影CT撮影のタイミングにも注意して読影する必要がある.











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