上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ12 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 58】

急性膵炎・仮性嚢胞形成.Acute pancreatitis with pseudocyst formation.




膵臓(T:尾部,B:体部,H:頭部)は脾臓と比較して造影効果が低下し不均一となっており,周囲に液貯留(▲)を認め急性膵炎である.大きな膵壊死はない.図4で胆石(↑)があるが,図5〜図7の白矢印は結石ではなく膵十二指腸動脈である.




下段の18日目のCTでは液貯留(▲)が限局化しつつある状態を示している.肉芽腫性・線維性の被膜が形成された(4週間以上かかる)ものを仮性嚢胞と呼ぶのでこの時期の正式な名称は“急性液貯留”である.










画像では認識できないが,4〜6週間以上経つと線維性被膜が形成されるので下段の嚢胞状液貯留(▲)は仮性嚢胞(pseudocyst)である.腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.










8ヶ月目には増大しつつある仮性嚢胞を示している.





10ヶ月経って腹痛を訴え,仮性嚢胞はさらに増大したので嚢胞胃吻合術(cyst-gastrostomy)を施行した.





参考症例(自然消失した仮性嚢胞):37歳男性.胆石がある(↑).総胆管内に結石を認めないが,落下結石による胆石膵炎と思われた.来院時の膵前面の急性液貯留は,3週間目で限局され嚢胞化し,6週間目には縮小したが仮性嚢胞である.6ヶ月目にはさらに縮小している.その後の腹部エコー検査で消失したことが確認され,胆嚢摘出術を行った.





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