文献考察:十二指腸に嵌頓した胆石イレウス(Bouveret's syndrome)
1)十二指腸水平部に嵌頓した胆石イレウスの1例
Author:森美樹(郡上中央病院 外科), 堀谷喜公, 松本真介, 安村幹央, 山田卓也, 阪本研一
Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)23巻1号 Page115-119(2003.01) 要旨:胆石イレウス本邦集計111例中,十二指腸例(Bouveret症候群)は13(1.2%)例(表1)であった.他部位に比べ高齢者が多く(他部位68.5歳:70.7歳),胆石が大きく(他部位3.9cm:5.0cm),自然排石例がなく(他部位11%),死亡率が高い(他部位2.3%:15.4%)であった.
2)Bouveret症候群の1例
Author:金澤伸郎(東京都老人医療センター 外科), 平田友美, 山口高史, 前田徹, 樋口芳樹, 黒岩厚二郎
Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)65巻6号 Page1641-1645(2004.06)
Abstract:胆石症の合併症としての胆石イレウスは比較的稀とされているが,その中でも十二指腸への胆石嵌頓が原因で胃内容排泄障害をきたした症例はBouveret症候群と呼ばれている.日本では未だ少数例しか報告されていない.症例は70歳,男性.悪心,嘔吐を主訴に来院した.右季肋部に軽度の圧痛を認めた.10年前に胆石を指摘されていた.上部消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚部に嵌頓する結石を確認した.内視鏡下の結石除去は不能だったため外科的治療が施行された.手術は結石嵌頓部にて十二指腸切開,結石を除去し閉鎖,胆摘とともに上十二指腸角部に存在した胆嚢十二指腸瘻を一期的に閉鎖した.2個の結石を摘出し,その最大径は25mmだった.術後,腸閉塞を併発したが保存的に軽快,術後50日で退院となった.本症は稀なBouveret症候群の1例であり,若干の文献的考察を加え報告する(著者抄録). 追記:本邦集計例30例(表2).
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