文献考察:肝内結石症例の自然経過(表)
【肝内結石症研究の最前線】 肝内結石症例の自然経過
Author:古川正人(国立長崎中央病院), 佐々木誠, 大坪光次, 八坂貴宏, 中道親昭, 白浜敏
Source:胆と膵(0388-9408)19巻11号 Page1021-1027(1998.11)
Abstract:診断時症状がなく治療されなかった原発性肝内結石症122例を最長15年間(平均10年1ヵ月)経過観察した.14例に症状の発症を認めたが,無症状108例と年齢,性差はなく,症状発症迄の期間は9ヵ月から7年4ヵ月(平均3年5ヵ月)であった.症状発症形式は,肝膿瘍, 胆管炎, 落下結石, 肝内胆管癌併発であり,経過中,肝内胆管拡張の増強と肝外胆管拡張の増強をそれぞれ2例に認めた.有症状化例の肝葉萎縮(13例)は,無症状例(14例)に比して有意に高頻度で,その予後は,肝内胆管癌死2例,肝不全死1例,11例が生存中であった.無症状例では,15例の死亡例全例が他病死であった.以上より,肝葉萎縮が症状発症および肝内胆管癌併発の危険因子であることが示唆されたが,肝内結石症における自然経過の確率には,さらに長期間の経過観察が必要である.
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