文献考察: Fitzgeraldの分類とRutherford分類
1)Fitzgerald JF, Stillman RM, Powers JC. A suggested classification and reappraisal of mortality statistics for ruptured atherosclerotic infrarenal aortic aneurysms. Surg Gynecol Obstet. 1978 Mar;146(3):344-6. 要旨:破裂による出血の部位的進展についてはFitzgeraldの分類がある.1)壁内血腫または破裂近辺に存在する小さい限局性出血(死亡率:0%),2)血腫が腎動脈より尾側にのみ存在するもの(37.5%),3)血腫が腎動脈上方に,下方には骨盤腔内に拡がるもの(62.5%),4)遊離腹腔内への出血(91.6%).
2)森景則保, 秋山紀雄, 古谷彰, 吉村耕一, 瀬山厚司, 竹中博昭, 濱野公 破裂性腹部大動脈瘤の手術成績と予後因子 日本血管外科学会雑誌 12巻2号 Page87-91.2003.
Abstract:対象は45例で手術死亡は14例であり,直接の死亡原因はショックからの離脱不能例6例,結腸壊死4例の順であった.因子ではRutherford分類(レベル1:疼痛のみで低血圧なし,レベル2:一過性低血圧で治療に良好反応,レベル3:持続性または反復性低血圧,治療に不完全反応で尿量低下,レベル4:持続性低血圧で治療に無反応),レベル1・2の31例中3例,レベル3・4の14例中11例が死亡し,来院時ヘマトクリット(Ht)値は手術死亡群で有意に低かった.術中因子では出血量,輸血量が手術死亡群で有意に多く,術後合併症は腎不全,3・4,輸血量6000ml以上,術後結腸壊死と腎不全が手術死亡の有意な危険因子となり,多変量解析では結腸壊死のみが手術死亡の有意な危険因子であった.特に術後結腸壊死を防ぐことにより手術成績の向上につながることが示唆された.
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