文献考察:胆嚢捻転症,本邦集計267例(表) MRCPにて術前診断し得た胆嚢捻転症の1例
Author:池田剛(尾鷲総合病院), 五嶋博道, 谷川寛自, 根本明喜, 林実夫, 川口達也
Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)60巻11号 Page2996-3000(1999.11)
Abstract:83歳女.全身倦怠感,右上腹部痛を主訴として来院.右上腹部に弾性軟で可動性良好の10×8cmの腫瘤を触知した.超音波検査で胆嚢は腫大し,壁は全周性に肥厚し,CTでは正中腹壁直下に位置していた.DICでは総胆管の軽度拡張を認めたが胆嚢は造影されなかった.MRCPで胆嚢は頸部で内下方に偏位しており,胆嚢の位置異常が明瞭に描出され胆嚢捻転症と診断した.開腹すると胆嚢は暗赤色で腫大し,時計方向に180度捻転しており,単純胆摘を施行した.本邦267例の報告では,70歳代の女性に好発し,臨床所見では一般の急性腹症に比し発熱の頻度が少ない.術前に胆嚢捻転症と診断されたものは11.2%であったが,最近10年間では23.5%と向上してきている.診断はUS,CT所見を熟知するとともにMRCPが確定診断に至る有力な診断法となることが示唆された.
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