上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ9 RESIDENT COURSE 解答 【症例 ER 44】

左肝内結石・総胆管結石.Left intrahepatic stones・choledocholithiasis.







図1〜図5の△は肝内胆管の拡張を示し,図7で総胆管(CBD)が拡張し,図8〜図11の▲は総胆管結石である.胆嚢摘出後に総胆管結石が発症したのは,図1〜図7の高濃度の↑は肝内結石であり,それらが落下した可能性が高い.図AがERCP(Endoscopic Retrograde Cholangio-Pancreatography:内視鏡的逆向性胆管膵管造影)で,左葉の肝内結石(↑)と総胆管結石(白矢印)を示す.






参考症例 1(Plain CT,左葉肝内結石):78歳女性.上腹部痛を訴え来院した.左葉肝内胆管の拡張があり(△),図2の↑は肝内結石である.




参考症例 2(Plain CT,左葉肝内結石・総胆管結石):85歳男性.20年前に胆嚢摘出術の既往がある.心窩部痛,悪寒戦慄と39度台の発熱のため来院した.図2と図3で肝左葉の胆管拡張があり(△),↑は肝内結石である.図5で総胆管が拡張し,図10の白矢印が総胆管に嵌頓した結石.










文献考察:肝内結石
肝内結石症
  Author:谷村弘(和歌山県立医科大学 第2外科)
  Source:日本臨床(0047-1852)別冊肝・胆道系症候群 肝臓編(下巻) Page502-504(1995.12)
要旨:胆石が肝内のみにある場合を肝内限局型としてintrahepaticの頭文字を取ってI型とし,肝外の胆管や胆嚢にもあるものをE型(extrahepatic),肝内外型をIE型と呼ぶ.全胆石症の1〜2%を占め,男女比は1:1.3,平均年齢は59歳.ビリルビンカルシウム石が75%,コレステロール石は13%に認める.自覚症状は疼痛66.4%,発熱31.4%で,無症状のものが16.1%ある.胆道癌の合併は5.1%あり,90%以上の症例で胆石のある場所に一致して発見される.

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