図1にも骨盤腔内にも腹水を認めない.図3〜図17の小腸群↑は拡張がなく虚脱しているか軽度の拡張を示しているだけだから追跡してclosed loopを証明することは不可能であるが,図2〜図4の小腸(SB)と比較して壁の造影効果が減弱しており,図4と図5で腸間膜が著明な濃度上昇を示し(▲),図6〜図8では静脈の怒脹(△)を認め,軽度に拡張した腸管はgaslessだから絞扼性小腸閉塞を否定できない.腸管拡張がないか,あっても軽度で,絞扼性小腸閉塞のかなり初期の所見と思われるが,このような症例もあることを念頭に置くべきである.ガストログラフィン造影CTを撮れば,↑の小腸群はガストログラフィンで造影されないだろうから診断はより容易になると期待できる.CT所見で絞扼性小腸閉塞が疑われ手術となった.小腸中央部で索状物により140cm長の小腸がclosed loopを形成し絞扼されていたが,壊死所見はなく索状物切離で虚血所見(図A:術中写真)は改善し,切除は不要であった.
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