文献考察:closed loop obstruction
1)腸管虚血の画像診断】 絞扼性イレウス
Author:古川顕(滋賀医科大学 放射線), 山崎道夫, 前田清澄, 高橋雅士, 村田喜代史, 永田保, 横山堅志, 坂本力
Source:画像診断(0285-0524)21巻6号 Page612-618(2001.05)
Abstract:捻転をはじめとする閉ループ閉塞,絞扼性イレウスに対するCT診断について解説した.CTは腸管のみならず腸間膜,腸間膜血管,腹膜腔の病態を描出するため,腸管虚血に対する診断能が高い.CTは腸管閉塞膜症が疑われて腹部単純X線写真で確定診断が得られない場合や,腸管虚血が疑われる全症例に施行すべきである. 追記:closed-loop obstructionは,消化管の離れた2点が1か所で締め付けられ,その間の腸管が閉鎖腔を形成して拡張する特殊な形態の腸管閉塞症である.閉鎖腔に相当する腸管はclosed loopと呼ばれ,その長さは症例によりさまざまである.closed-loop obstructionの原因は,癒着性のバンドによるものが多いが,内・外ヘルニアの嵌頓によるもの,腸の回転異常を伴う軸捻転によるものなどが挙げられる.closed-loop obstructionは必ずしも循環障害を伴う病態ではないが,腸管閉塞部で腸間膜血管が圧迫されやすいこと,また,閉塞部を中心に軸捻転を起しやすい傾向にあることから絞扼性イレウスを発症しやすい. closed-loop obstructionのCT所見としては,C字型,U字型,あるいは放射状に広がった拡張腸管像,閉塞部位に向かって扇状に収束する腸間膜血管像などが挙げられる.また,閉塞部位においては”beak sign”,”whirl sign”,腸間膜動静脈の位置逆転像,三角状を呈した腸管像,ともに虚脱して隣接する腸管像などが観察される.大腸のclosed loopはガスを貯留して”coffee bean”状に認められるものが多いが,小腸ではガスを含まず腸液で充満しているものが大部分である.
2)Gastroenterol Clin North Am. 2002 Sep;31(3):777-99. Intestinal obstruction role of CT.
Frager D.
CT has significantly advanced the evaluation of small and large bowel obstruction, especially in the acute situation where high-grade or possibly strangulating obstruction is being encountered. Any physician involved in evaluating patients with bowel distention and abdominal pain where obstruction becomes a distinct diagnostic possibility should be aware of the attributes and limitations of this modality to provide the best patient care. New technological advances will hopefully limit radiation exposure and provide even more definitive information in the diagnosis of bowel obstruction.PMID: 12481731 要旨:closed-loop obstructionのCT所見は上記文献のとおりであるが,500例の小腸閉塞手術例で60%に術前確定診断が可能であった.(私見:腸管の追跡を行えば80%以上に診断可能と考える)
|