図5〜図8で小腸が外径2.5cm以上に拡張し,上行結腸(▲)と下行結腸(△)は虚脱しているので小腸閉塞である.麻痺性イレウスでは多くの場合右側結腸も小腸と同様の液状内容物で拡張する.図1,図20と図21で少量の腹水があり(※),拡張した小腸はgaslessで絞扼性小腸閉塞を示唆する2所見がある.しかし,腸間膜の濃度上昇を認めず腸管壁の造影効果は良好で,壁肥厚もないので単純性小腸閉塞の可能性が高い.図19の1とAから追跡を始めると,1は図2の10となり頭側へ進展する.図3のabは図2のaとbに分かれて頭側へ向かうので図4の6とは連続しない.他方Aは図6のHで閉塞し,隣接する虚脱した小腸(SB)があり↑が移行部(transition zone)である.近接する部位で2点の閉塞部位を認めずclosed loopは否定できた.正中切開創直下での閉塞で,虚脱した小腸(SB)に腫瘍性病変や腸重積などの病的所見を認めず癒着による閉塞であろうと判断する.保存的に治癒した.
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