文献考察:腸閉塞のCT診断(1)
Eur Radiol. 2002 Sep;12(9):2151-60. Non-traumatic abdominal emergencies: imaging of acute intestinal obstruction.
Taourel P, Kessler N, Lesnik A, Blayac PM, Morcos L, Bruel JM.
The purpose of this paper is to give an overview of the main clinical questions in bowel obstruction, to discuss the value of various imaging modalities, including conventional radiography, ultrasound, and CT, to underline the impact of imaging in the management of patients with suspect bowel obstruction, and then to suggest a diagnostic triage in such patients.PMID: 12195464 要旨:腸閉塞は急性腹症の外科入院例の20%を占め,75%が小腸閉塞で,25%が大腸閉塞例である.CT検査では,画像の精度を高めるため,また絞扼の診断に経静脈的造影は不可欠で全例に行うべきである.腸閉塞のCT診断は,移行部(transition zone)の口側に拡張した腸管(小腸>外径2.5cm,大腸>8cm)があり,肛門側に虚脱した腸管を認めることである.小腸閉塞の原因で最も多い(50%以上)のは術後の癒着によるもの,しかし,癒着性索状物(band)による腸閉塞の中で開腹例のない例が5%存在する.大腸閉塞の3大原因は結腸癌(約60%),次いで捻転(10-15%)と憩室炎である.絞扼性小腸閉塞は小腸閉塞の約10%にみられ,死亡例や術後合併症の高い病態である.closed loopのCT所見は,腸管の放線状配置,伸展された血管が閉塞部位に収束する,閉塞部位でU字型,またはC字型を呈する拡張した腸管ループ,閉塞部近傍に虚脱した腸管がある,閉塞部位でbeak signを認める.(私見:これらの所見は特異性が低く,全所見を認めてもclosed loopの確定診断にはならない.拡張した腸管を正確に追跡しclosed loopを証明することが確定診断に不可欠で,訓練を積めば多くの症例で可能である.) 絞扼(Strangulation)のCT所見は,全周性の壁肥厚(target sign,halo sign),単純CTで壁が高濃度を呈する,造影CTで壁の造影効果を認めないか減弱している(最も特異性が高い),腸間膜の濃度上昇(浮腫,液貯留や血腫).
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