図1〜図6の大量の腹水(※)は何か重大な病態の発生を示唆し,徹底的に原因を追及することが大事である.動脈相のCTだからSMVはまだ造影されていない.図7〜図15の小腸は造影効果は良好だが壁はやや肥厚ぎみである.図7〜図12のSMA分枝(△)は反時計方向に回転し渦巻状になっており,血管のwhirl signであり,小腸軸捻転を意味する重要な所見である.小腸の走行に注目すると図5のaは図8までに360度回転し図7と図8でbと連続し,bはさらに360度回転している.下記文献にはSMAを軸に腸管が回旋し渦巻き状になる所見をwhirl signと呼んでいるが,SMA中枢部での捻転では腸管の渦巻像より血管の渦巻像が際だっている.正確にCT診断され手術となった.腸間膜と腹壁間に癒着がありそれを軸に小腸が捻転していたが腸管壊死はなく捻転解除と癒着剥離を行った.SMA中枢部の捻転だから手術の時期を逸すれば大量の小腸壊死をきたし短腸症候群に陥った可能性が高い.
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