結腸の拡張を認めず小腸閉塞である.図1で肝周囲に腹水がある(※).図9〜図12の▲は腸間膜間の腹水(浮腫は不均一な低濃度で境界不鮮明,均一な低濃度で境界鮮明なものは液貯留で,浮腫より進行した病態を意味する)で,下腹部から骨盤腔内で拡張した小腸は,ニボー(鏡面像:air-fluid level)を形成している一部以外はgaslessであるので絞扼性小腸閉塞を強く疑う.Closed loopを証明すれば確定診断となるから図14のA1から追跡を始めると,A群は図8のPで,1群は図6の19でbeak sign(↑)を示し閉塞する.図7と図8に虚脱した小腸(SB)があり,図7の丸数字1から頭側へ進展する小腸が単純閉塞の腸管と思われる.多くの場合単純閉塞の小腸はclosed loopの小腸より腸管内ガスの量が多いのが特徴である.Closed loopの閉塞部位図6の19と図8のP間に1スライス(図7)分距離があるが,その図7に単純閉塞の起始部(丸数字1)を認めるので同部位での閉塞と解釈していい許容範囲であろう.絞扼された小腸壁の造影効果は一部減弱した所もあるが,全体的にある程度認められ,壊死を起こしているか微妙な所見であるが,大量の腸間膜間腹水(図9〜図12:▲)は進行性の虚血状態を示唆する.図14の腸管壁(白矢印)は大きく拡張している割にはやや肥厚を示し,高濃度を呈しており,単純CTを撮っておれば単純CTでも高濃度を示し出血性壊死と診断できた可能性がある.手術ではbandによる,closed loopを形成する絞扼性小腸閉塞が確認され,回腸約60cmが壊死に陥っており切除した.
|