小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.図11〜図13で腹水があり(※),骨盤腔内で拡張した小腸はgasless(ガスがないかあっても断面面積の半分以下)で,図10で腸間膜間液貯留または濃度上昇を認め(▲),3所見あるので絞扼性小腸閉塞を疑う.虫垂切除後だから骨盤腔内の,腸間膜濃度上昇を伴う腸管群に注目し図12のAと1から追跡を始める.Aと1はいずれも図6のGと17で閉塞し,虚脱した小腸(SB)があり,図4の丸数字1から図1の丸数字6が単純閉塞の小腸で,推定約50cm長の小腸のclosed loopが証明された.絞扼された小腸壁の肥厚はなく,造影効果は良好で壊死はない.S:S状結腸.正確にCT診断され手術となった.左卵巣と腹膜間に索状物(band)があり,約45cmの回腸が絞扼されていたが,壊死はなく索状物切離のみ行った.この演習問題で拡張した小腸を認め,病歴からも腸閉塞の可能性があれば,解答をみる前にぜひプリントアウトして,印をつけて腸管を追跡する訓練をしてほしいものである.著者の経験では50例以上真剣に取り組めばだいたいの絞扼性小腸閉塞の診断は,壊死に陥る前でも可能である.
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