図1で骨盤腔内に,図5(約半分に縮小)で肝臓と脾臓周囲に大量(厚さ2cm以上)の腹水がある(※).造影CT(図6〜図8と図13〜図15)で△の小腸は壁肥厚を示しているが,一見周囲の小腸より強い造影効果を受けviableな腸管に見える.しかし,3時間前の単純CT(図2〜図4と図9〜図12)で既に高濃度(筋肉と同等または筋肉以上)を示しており(▲),血腫による壁肥厚を意味し出血性壊死の所見である.図6〜図8の白矢印の小腸は粘膜下浮腫による壁肥厚を示す.手術で索状物(band)による絞扼性小腸閉塞を認め,Treitz靱帯から125〜160cm(35cm)の空腸が出血性壊死に陥っていた(図A:↑).このように出血性腸管壊死の診断には単純CTが極めて重要であり,経静脈的造影CTだけでは壊死所見を見落とすことがある.
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