遊離ガスや腹水はない.胃が骨盤腔へ達するくらいに著明に拡張しているので,通過障害を起こす病変がないか図17の前庭部A1から頭側へ追跡する.図14で壁肥厚が始まり(↑),図12と図11で全周性の病変となり,図10で完全閉塞を示す腫瘤となる(↑).限局性の病変で造影効果は強く,また不整に造影され悪性腫瘍を強く疑う.図14〜図16の前壁直下のガス△はニボーを形成していないので壁内気腫と解釈すべきである.病変の種類に関係なく,粘膜損傷と内圧上昇があると壁内気腫は発生しうるもので,必ずしも虚血や壊死を意味しない(下記症例の解説参照).図Aが切除標本で,▲が癌病変.病理:poorly differentiated adenocarcinoma.
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