図2と図3で少量の腹水があり(※),図3の△は遊離ガスである.胃は空虚になっているので壁が肥厚しているように見えるが病的ではない.図8〜図10に十二指腸球部があり,前壁は浮腫で壁肥厚を示している(▲),↑が前壁の欠損像で,十二指腸潰瘍である.図9と図10で潰瘍の直上,前腹壁直下にも遊離ガスを認め(△)十二指腸潰瘍穿孔の診断がつく.手術となり十二指腸球部前壁に8mm大の穿孔を認めた.胃十二指腸がガスで拡張していると病変の発見は容易ではないが,経静脈造影で5mmスライス以下のthin slice CTであれば急性腹症としての胃十二指腸病変の診断は可能であり,穿孔部位が胃か十二指腸かの鑑別は90%以上に可能である.
|