上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ1 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 5】

十二指腸潰瘍穿孔.Perforated duodenal ulcer.






図2と図3で少量の腹水があり(※),図3の△は遊離ガスである.胃は空虚になっているので壁が肥厚しているように見えるが病的ではない.図8〜図10に十二指腸球部があり,前壁は浮腫で壁肥厚を示している(▲),↑が前壁の欠損像で,十二指腸潰瘍である.図9と図10で潰瘍の直上,前腹壁直下にも遊離ガスを認め(△)十二指腸潰瘍穿孔の診断がつく.手術となり十二指腸球部前壁に8mm大の穿孔を認めた.胃十二指腸がガスで拡張していると病変の発見は容易ではないが,経静脈造影で5mmスライス以下のthin slice CTであれば急性腹症としての胃十二指腸病変の診断は可能であり,穿孔部位が胃か十二指腸かの鑑別は90%以上に可能である.






参考症例(Plain CT,十二指腸潰瘍穿孔):47歳男性.数時間前に発症した上腹部痛のため来院した.体温:37.0℃,腹部は心窩部に圧痛があるのみ.
遊離ガスがある(△)が,腹水は認めない.胃に急性病変はなさそうだから十二指腸に注目する.図5と図6で十二指腸球部の浮腫性壁肥厚を示し,↑の潰瘍性病変が認識でき,単純CTではあるが(造影CTのほうが診断の精度ははるかに高い)十二指腸潰瘍穿孔と診断できる.図Aの内視鏡検査で,十二指腸球部右外側壁に既にseal off されていると思われる活動性(A2)潰瘍を認めた.保存的に10日間で治癒した.









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