上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ1 EXPERT COURSE 解答 【症例 EE 4】

十二指腸潰瘍穿孔.Perforated duodenal ulcer.




図5〜図7で遊離ガスがあり(△),図7〜図15でMorison窩に腹水を認める(※).図8〜図11で▲は十二指腸球部前壁の粘膜下浮腫による壁肥厚を示し,↑は壁の欠損像で,十二指腸潰瘍穿孔である.腹部所見は心窩部に限局しており,腹水は少量だから保存的に治療し治癒した.6日目の内視鏡検査で十二指腸前壁に活動性潰瘍(A1)を認めた.







参考症例(十二指腸潰瘍穿孔):17歳高校生.特に既往歴はない.12時間前突然上腹部痛が出現し,嘔吐を伴ってきたので来院した.体温:37.0℃,右上腹部に圧痛,反跳痛と筋性防御がある.
図1,図3〜図7の△は遊離ガスである.胃の小弯側や前庭部に浮腫性壁肥厚はなく胃の潰瘍性病変はなさそう.図6と図7が胃十二指腸移行部で,十二指腸球部前壁がわずかだが浮腫性に肥厚し(▲),△は腸管外遊離ガス,白矢印は内腔内のガスで,↑はそれに隣接して浮腫性に肥厚した壁内に存在するガスだから潰瘍内のガスであろう.従って十二指腸潰瘍の穿孔と診断する.図2と図3の?は周囲壁の浮腫性肥厚を伴っていないので潰瘍性病変ではない.手術となり十二指腸球部前壁に5mm大の穿孔を認めた.






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