肝臓周囲に厚さ2cm以上の大量の,脾臓周囲に厚さ1cm以下の少量の腹水(※)と遊離ガス(G)がある(腹水量は便宜上CTでの厚さ2cm以上を大量,1〜2cmを中等量,1cm以下を少量とする.骨盤腔は比較的狭い空間なので2倍値とする).図3の胃小弯あたりから浮腫性壁肥厚(▲)が始まり,図6〜図11までの↑が胃角部から前壁に広がり,周囲に胃壁の浮腫を伴う(▲)潰瘍性病変である.したがって胃潰瘍性病変の穿孔と診断できる.図16と図17で骨盤腔内にも大量の腹水を認める(※)が,図17の白矢印は散在する泡沫状のガスで食物残渣(腸管内容物)と判断すべきである. S:S状結腸.図AがCT後のガストログラフィンによる胃透視写真で胃角部の潰瘍を認める(△).手術となり胃体部前壁に2cm大の胃潰瘍穿孔を認めた.ところで図3で腹壁直下の肝辺縁が白い線状に(△),図4では光を放つような放線状の白い陰影のアーチファクト(△)が発生している.これは遊離ガスの存在を強く示唆する所見である.多くの場合肝臓は隣接する脂肪や肺(間に横隔膜,胸膜と肺胞壁が存在する)とはアーチファクトは発生しないが,ガスと直接接すると図3と図4のようにアーチファクトを作ることが多く,ウィンドウ幅が300程度の,脂肪組織がガス同様に黒くてガスとの鑑別が困難な画像で遊離ガスを検索する時有用な所見である.
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