回腸末端(TI)は図8の1から始まり,図5の23までは一連の壁肥厚を呈する回腸である.単純CTで回腸壁はやや高いdensityを示し(↑),粘膜下浮腫ではなく壁内血腫と解釈すべきである.上行結腸(A)はwater densityの内容物を含み,一部densityの高い部分は血腫の可能性がある.盲腸(C)は不整に造影され,図10の単純CTでdensityが高く壁内血腫であろう.右側結腸と,壁肥厚を呈する回腸周辺には腹水があり,特に骨盤腔内の腹水(※)はfluid-fluid level(▲より上部は血漿,下部は沈殿した血球)を示し,ヘマトクリット効果と呼ばれる現象で,血性腹水であることを強く示唆する.翌日には大量下血が出現し輸血を要したが,以後は保存的に順調な経過をとった.図Aは2週間目に行った大腸ファイバー所見で,盲腸の粘膜下に残存血腫を認めた(△).
|