文献考察:大腸憩室炎の手術症例(右側61例,左側14例),重傷例(汎発性腹膜炎,ショック,白血球減少例)は左側例に多い(表). 大腸憩室症75手術症例の検討
Author:青木克哲(高松市民病院), 西井博, 小笠原邦夫, 近藤肇彦, 福田洋, 篠原永光, 開野友佳理
Source:外科(0016-593X)63巻13号 Page1770-1775(2001.12)
Abstract:過去約16年間に筆者らが手術を行った大腸憩室症患者75症例(男58例・平均47.0歳,女17例・平均53.1歳)について検討した.その結果,年齢分布は18〜86歳に亘り,平均48.4歳で,最も頻度が高かったのは40歳代の21例であった.性別では男に多く,女の平均年齢の方が高かった.憩室の発症部位は右側型が61例に対して左側が14例と右側に多く,平均年齢は右側が45.0歳,左側が63.1歳で左側が高齢であった.術式は術前診断が虫垂炎の疑いの16例中15例は,術中肉眼的に憩室炎であることを確認後に,虫垂切除腹腔ドレナージ11例,回盲部切除3例,右半結腸切除1例を行った.術前診断が憩室炎の35例には右半結腸切除19例,回盲部切除12例,上行結腸切除3例,左半結腸切除1例を行った.重篤な合併症は遊離穿孔と腹膜炎を伴った膿瘍形成で,左側例に多く発生しており,主な緊急手術の適応であった.憩室炎の診断および虫垂炎との鑑別にはCTおよび超音波検査が有用であった.
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