右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)は図6までで,回腸末端(TI)は図4から始まる.図4〜図10の回腸末端(TI)は,かなり長い距離で強い造影効果を受ける壁肥厚を示し,慢性の炎症疾患を示唆しCrohn病の所見と一致する.図9の白矢印の部分から拡張し始めるので,Crohn病変が閉塞病変のように見えるが,図1〜図3の上行結腸(A)と図4〜図6の下行結腸(D)にも水様便を認めるので,むしろ麻痺性イレウスの可能性が高い.図6と図7の↑は腫大した虫垂であり,図1〜図8で広範囲に腹膜の肥厚を示し(△),図1〜図10では広範囲の周囲脂肪組織の濃度上昇があり(▲),図4と図5,図10〜図12で腹水を認め(※),穿孔性虫垂炎と診断すべきである.手術で回腸末端は約40cmにわたり炎症性の浮腫性壁肥厚(図B:↑)と腸間膜の肥厚(図B:▲)を認めたが穿孔所見はなかった.虫垂は壊死性で,先端部で穿孔しており(図A),虫垂切除のみ行った.病理:gangrenous appendicitis.granulomaなどは認めず,Crohn病を積極的に示唆する所見はない.
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