右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ17 EXPERT COURSE 解答 【症例 RE 84】

転移性虫垂癌・転移性肝癌・横行結腸癌.Metastatic carcinoma of appendix and liver.Transverse colon cancer.








図9〜図16は省略.図1〜図6の肝臓病変△は極めて不整な造影効果を受ける多発性病変で,転移性腫瘍であろう.図18〜図22の↑は辺縁不整で,内部は極めて不整に造影され,周囲脂肪組織の濃度上昇(毛羽立ち,図17と図18:白矢印)もあり,盲腸癌と診断した.手術では,虫垂腫瘤(図A:↑)が後腹膜に癒着し一部は膿瘍を形成していた.肝臓には多発性の転移性病変を認めた.病理検査で,虫垂腫瘍と肝腫瘍はいずれもmetastatic adenocarcinomaと診断された.よく見ると,図7と図8で横行結腸(T)に良好な造影効果を受ける腫瘤があり(▲),後日の検査でadenocarcinomaと診断され,原発巣と思われた.









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文献考察:転移性虫垂癌,本邦集計33例,胃癌からの転移が圧倒的に多い(表).
胃癌虫垂転移による急性虫垂炎の1例
  Author:島本強(美濃市立美濃病院), 鬼束惇義, 片桐義文, 岩田尚, 山内一
  Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)20巻1号 Page95-99(2000.01)
  Abstract:胃癌による虫垂転移はまれな疾患であり本邦報告例は24例である.71歳男,5年前にBorrmann 4型胃癌で胃全摘術を受けている.胃癌術後5年目に右下腹部痛を自覚したため入院し急性腹症の診断で緊急手術を施行した.虫垂に炎症を認め,虫垂根部は堅く腫瘍を認めた.腸間膜に数個所,播種性転移と思われる硬結を認めた.回盲部切除術を施行した.組織学的検査で漿膜下に胃癌組織と同様な印環細胞癌を認め,胃癌虫垂転移と診断した.

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