単純CT図12と図14の△は筋肉組織より高濃度を呈し血腫である可能性が極めて高い.大動脈周囲にあり,腸管を前方と外側へ圧排しているので後腹膜に位置する.造影CTの図4〜図13の▲も後腹膜血腫と解釈する.図5と図6の↑は大動脈(aorta)と同等に造影され,大きさも同等で異常血管であり,血管瘤(aneurysm)である.十二指腸(丸数字12 )の前方に位置し,胃十二指腸動脈または膵十二指腸動脈瘤の可能性が高く,その破裂による後腹膜出血と診断する.SMA:上腸間膜動脈,SMV:上腸間膜静脈.図Aは血管造影で,↑がASPD(anterior superior pancreaticoduodenal artery)の動脈瘤,ASPDとPSPD( posterior superior pancreaticoduodenal artery )をコイルで塞栓し止血に成功した.本疾患の塞栓術においては動脈瘤に関与するすべての流入,流出動脈を閉塞し,瘤を孤立させることが肝要である.
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