下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 3 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 11】

絞扼性小腸閉塞(壊死)strangulated obstruction with necrosis







骨盤腔内の拡張した小腸はgaslessで,図6〜図8で強い腸間膜浮腫を示し(▲),図9〜図11にて腹水があり(※),絞扼性小腸閉塞を疑う.Closed loopを証明すれば決定的だから図9の1,2とAから追跡すると,図3の18とGとなり同部位で閉塞する.図2には虚脱した小腸(SB)があり,図1のaが単純閉塞の小腸の始まりと思われ,closed loopである.壁の造影効果は悪くないように見えるが,単純CTの図13〜図16で壁が高濃度を呈し(△)出血性壊死である.手術所見:血性腹水が200mlあり,盲腸から80cmの部位で60cmの回腸がバンドにより絞扼され壊死に陥っていた(図A:↑).









文献考察腸閉塞全国集計、手術例中絞扼性イレウスは14.9%を占め、その死亡率は7.4%
恩田昌彦, 高崎秀明, 古川清憲, 田中宣威, 森山雄吉
イレウス全国集計21,899例の概要
日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)20巻5号 Page629-636(2000.07)

Abstract:1996年〜1997年にイレウスで入院加療した患者を対象に全国集計を施行した.363施設の協力により,手術症例8,032例,保存治療症例13,867例を集計した.手術症例では癒着性イレウスが30.5%,腫瘍性が20.5%,絞扼性が14.9%,腫瘍の転移・播種が11.2%などであった.一方保存治療症例では癒着性が74.1%,麻痺性8.5%,腫瘍の転移・播種が4.8%であった.手術症例,保存治療症例の死亡率は各々10.5%,4.5%であり,全体では6.7%であった.原因別の死亡率は,癒着性イレウスでは1.4%,腫瘍性イレウスでは13.3%,腫瘍の転移・播種では45.5%,絞扼性イレウスでは7.4%であった.過去の全国集計に比べ,癒着性イレウスの頻度が増加し,特に保存治療症例の割合が増加している

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