図11と図12に腹水がある(※).拡張した小腸は一部ガスを相当量含むが,全般的にはgaslessである.Closed loopを証明するための追跡はどこからスタートしてもいいが,図4でbeak sign(↑)を呈し閉塞する小腸1があるのでそこから始めると図3の29でも閉塞する.図3のaもbeak signを呈し(↑),頭側へ図2のb,図1のcと展開するので単純閉塞の小腸と解釈でき,図2〜図4の虚脱した小腸(SB)は腸管のwhirl signを呈している.一見腸管壁は造影されているように見えるが, 実は▲は腸管壁ではなく充血肥厚した腹膜または腸間膜,後腹膜筋膜である.その証拠に図11と図12で腸管壁から離れて背側へ走行している(▲).今回のResidentコースLR11の解答欄に記した腸管壊死のCT所見8:隣接する腹膜,腸間膜や後腹膜筋膜の充血肥厚である.腹膜や後腹膜筋膜と接しない内側の腸管壁は全く造影されていないことに気づいてほしい.図6と図7の△は壁内気腫であり,20cm前後の捻転を伴った,壊死に陥った絞扼性小腸閉塞である.図12の腹水(※)周囲の腹膜の充血肥厚(▲)は腹膜炎の所見である.手術で暗黒色に壊死に陥った20cmの回腸(図A)がbandで絞扼され,さらに180度捻転していた.
|