図1〜図6の白矢印は多発性の転移性肝腫瘍の可能性が高い.右下腹部痛の原因と思われる盲腸(C)の,図9〜図13の病変▲は強い不整濃染を受け,辺縁も不整である.低濃度となっている中心部(△)は壊死を示唆する.以上より,盲腸外側へ発育した悪性腫瘍が考えられる.よく見ると,図2〜図6で高吸収値を呈する胃壁の肥厚を認め(↑),腫瘍性病変:胃癌であろうと思われる.手術で盲腸外側に壁外性に7.0×5.0cmの腫瘤を認め,回盲部切除を施行した(図A:▲が盲腸病変).大網と腹壁には1〜2cm大の小結節が多数あり,肝両葉にも転移性腫瘍を認めた.病理:盲腸粘膜層には腫瘍細胞を認めずmetastatic adenocarcinomaである.腫瘍内部には壊死組織を認め膿瘍を形成している.後日の胃内視鏡検査で体上部から胃角部にかけて巨大な腫瘍を認め,生検でmoderately differentiated adenocarcinomaと診断された.
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