下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 3 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 14】

小腸捻転(壊死なし).small bowel volvulus with no necrosis






図1からSMAとSMVを追跡すれば,図6〜図9でSMVが1回半反時計方向へ回転しており(血管のwhirl sign)小腸軸捻転と診断するが,小腸壁は良好に造影されており腸管壊死はない.CTで正確に診断され緊急手術が施行された.小腸の,反時計方向へ360+180度の軸捻転を認めたが,小腸壊死はなかった(図A).捻転解除と癒着剥離を行った.SMAのかなり中枢側での捻転であり,手術の時機を逸すれば小腸大量切除となり短腸症候群になりかねない症例である.






文献考察小腸捻転
Roggo A, Ottinger LW.
Acute small bowel volvulus in adults. A sporadic form of strangulating intestinal obstruction.
Ann Surg. 1992 Aug;216(2):135-41.
一次性捻転(primary volvulus:5/35例)とは原因となる解剖学的異常がないもので,飢餓または空腹時に大量に食餌摂取したときに起こし,アフリカやインドで多発する.二次性捻転(secondary volvulus:86%)は腸回転異常,癒着または癒着性索条物などが原因で起こるものである.小腸閉塞の4%を占め,開腹時に半数が小腸壊死状態であった.死亡率は腸管がviableであれば0%,壊死状態で17%であった.

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