文献考察:虫垂憩室炎
1)本邦集計186例.
【虫垂疾患とその周辺】 虫垂疾患の各論 虫垂憩室ならびにその炎症
Author:宇都宮勝之(自衛隊仙台病院), 別宮慎也, 長谷和生, 望月英隆
Source:臨床消化器内科(0911-601X)14巻11号 Page1511-1515(1999.09) 要旨:虫垂憩室症は欧米の報告は多いが,本邦では186例のみで比較的まれな疾患である.12〜85歳(平均46.4歳),男性に多く(男:女=2.8:1),切除虫垂や注腸検査の0.004〜2.1%に認められる.真性憩室はきわめてまれでほとんどが仮性憩室である.虫垂間膜側(56%),虫垂中央部(42%),多発例(60%),結腸憩室合併例(72%)が多い.虫垂憩室炎の術前の確定診断は困難で,病態は急性虫垂炎と類似するが,急性虫垂炎に比べ高齢で穿孔率が高い(26〜66%).虫垂憩室症の治療は,高い穿孔率のため欧米では手術が第一選択とされるが,本邦では一定の見解がない.虫垂憩室症を診断した場合,患者に十分説明し,虫垂憩室炎が疑われる場合には,手術時期を逸せず治療することが重要と考える.
2)虫垂憩室症本邦集計271例
虫垂憩室穿通により全周性膀胱壁肥厚をきたした1例
Author:平良勝己(中頭病院 外科), 川上浩司, 稲嶺進, 當山鉄男, 永吉盛司, 与那覇俊美
Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)65巻1号 Page209-213(2004.01)
要旨:年齢は12〜88歳(平均50.4歳),男性199例,女性65例と男性に多い.術前に診断がついた症例は56例(20.7%)だが,53例は注腸造影で偶然指摘されたものであり,3例のみが術前の腹部超音波検査で虫垂憩室炎と診断されていた.死亡例は1例だけ.穿孔例が多く40%と高率であるので,無症状例に対しても予防的虫垂切除を考慮すべきである.
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