不整脈のある患者が腹痛を訴えれば,まず考えないといけない疾患はSMA塞栓症である.図3と図4の▲がSMAの起始部であるが,石灰化が強く,そのすぐ末梢から造影効果を失い血流が途絶えている.塞栓症であれば通常起始部から3〜8cm末梢で塞栓するので血栓症の可能性がある.しかし,図10と図11で右腎も梗塞に陥っている(△)ので,やはり塞栓症であり,塞栓子が動脈硬化の強いSMAの起始部で塞栓したと解釈すべきである.図9〜図17まで十二指腸,下行結腸(D)と↑の空腸以外の腸管は壁の造影効果が減弱,または全く認められず虚血状態である.図18と図19で直腸(R)とS状結腸(S)と比較して,骨盤腔内の小腸(おそらく回腸)の虚血状態はさらに顕著である.開腹するとTreitz靱帯より約20cmから脾彎曲部の横行結腸まで壊死に陥っていた.
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