文献考察:魚骨による消化管穿孔
1)CTスキャンによって術前に診断した魚骨穿通による腹腔腫瘤の1例
Author:津田基晴(富山医科薬科大学 第1外科), 鈴木衛, 小山信二, 他
Source:臨床外科(0386-9857)52巻9号 Page1213-1216(1997.09)
1984年から1996年までに,術前に魚骨による消化管穿通または穿孔と診断された症例は27例で,CTスキャンが施行された22例全例で肉芽腫内に針状の石灰化像を認め,腹部エコーが施行された16例中魚骨が確認されたのは11例(69%)であった.
2)術前診断が可能であった魚骨による腹腔内炎症性腫瘤の1例
Author:竹元伸之(東埼玉総合病院), 山本宏, 甲斐敏弘, 椎名良直, 岡田晋一郎, 関口勝也, 宮田道夫
Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)61巻5号 Page1293-1298(2000.05)
Abstract:69歳女.左下腹部痛を主訴に受診,腹部所見では同部位に径10cm大の圧痛を伴う表面平滑・弾性硬の腹部腫瘤を触知した.入院時白血球数10,900/mm3,CRP2.60mg/dlと炎症所見を認めた.USでは消化管と連続した境界不明瞭なlow echoが描出され,またCTでは石灰化を伴う線状陰影を有する腫瘤像を認めた.問診では確診は得られなかったが検査所見と合わせ,魚骨による腹腔内炎症性腫瘤を最も疑った.下部消化管造影では,横行結腸左側・S状結腸右側の両方に約5cmの壁外性圧排像を認めた.開腹所見で腫瘤は術前の画像診断の如く両結腸に挟まれて存在し,腫瘤を含めた切除を施行した.摘出腫瘤は一部膿を含み,内部に長径2.5cmの魚骨を認めた. 追記:術前に画像診断で魚骨が同定された本邦報告例は31例と少なく,診断方法はCTが88%,腹部エコーが42%,両者で魚骨が描出されたのは30%であった.
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