右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ9 EXPERT COURSE 解答 【症例 RE 41】

回腸と十二指腸内魚骨.Fish bones,one in ileum,one in duodenum. 



当日になりCTを再検討したら小腸内の魚骨を認め,筋性防御が出現したので手術となった.回盲部より50cmの部位に腸管壁を貫通した魚骨(▲)と,十二指腸内にとどまる魚骨1本(△)を摘出した.図6の魚骨(▲)は腸管外に貫通しており,図5と図6で周囲脂肪組織の濃度上昇を認め(↑),手術の適応である.腸管内異物,胆石イレウスや胃石による腸閉塞では複数病変の可能性があることを忘れてはならない.



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文献考察1):消化管異物
【消化管異物に対する診断と治療方針】 消化管異物の治療上の問題点
  Author:仁科雅良(川崎医科大学 救急医), 小林良三, 藤井千穂, 小濱啓次
  Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)19巻1号 Page15-20(1999.01)
  Abstract:消化管異物253例中,貨幣が68例と最も多く,以下有鈎義歯・食物・玩具などであった.平均年齢20.9歳で,10歳未満の幼児が158例(3歳以下が111例),10歳未満では貨幣,玩具,ボタン電池が多い.40歳代以上では義歯,PTPが多い.部位では,胃が113例,食道が103例.食道では70例に内視鏡又は喉頭鏡による摘出を行った.胃では内視鏡的摘出術は14例であり,大部分は自然排泄した.形態では鋭的異物が77例で,36例に内視鏡的摘出術を行った.経口摂取された異物で手術を要した4例は全て鋭的異物であった.肛門から挿入された大きな瓶の2例では,全身麻酔下摘出及び開腹術を要した.

文献考察2)
【消化管異物に対する診断と治療方針】 消化管異物の診断と治療法の選択
  Author:井上義博(岩手医科大学高次救急センター), 金田泰一, 藤野靖久, 吉成仁, 遠野千尋, 須藤隆之, 大森浩明, 斉藤和好
  Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)19巻1号 Page21-27(1999.01)
追記:治療方針(表)
  【参照症例】   1. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)8 【症例 GR 36】

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