文献考察:異物による消化管穿孔例,過去10年間の本邦報告例95例中針によるものは1例(表1). 胃,結腸,直腸にみられた消化管異物の1手術例
Author:木村俊久(福井医科大学 第1外科), 藤島由佳, 石田誠, 片山寛次, 廣瀬和郎, 山口明夫
Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)22巻1号 Page133-136(2002.01)
Abstract:49歳男.精神薄弱と癲癇発作の既往があり,精神不安から衝動的に石2個,ミシン針3本,フォーク1本を飲み込んだ.フォークが肛門に刺さり,出血を認めた.単純X線写真,CTにより,消化管内の異物を認めた.鋭利な針は消化管穿孔のおそれがあること,大きな石は自然排出や内視鏡的摘出困難であることなどから,手術適応と判断し,開腹手術を施行した.胃切開で2個の石を摘出し,結腸内の針は透視下で用手的に結腸壁を貫通させて摘出した.直腸内のフォークは肛門括約筋を弛緩させて用手的に肛門より摘出した.
参考症例(腸管内針):15歳男児.数時間前に縫い針を6本飲み込んだ.腹痛や嘔吐はない.熱はなく,腹部はsoft and flatで圧痛もない.
図1の腹部単純写真で,6本の針を認める(↑).図2〜図4で食道下部に1本,図6〜図14で腹部に5本(2〜6)の針を認めた.4は十二指腸内で,他は小腸内と思われる.遊離ガス,腹水や周囲脂肪組織の濃度上昇はなく,消化管穿孔の所見はない.内視鏡で食道内の1本(図2〜図4の1)を摘出し,他は放置した.3日後の腹部単純写真(図16)で針を認めず,合併症なく排出された.
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