文献考察:子宮広間膜異常裂孔ヘルニア
子宮広間膜異常裂孔ヘルニア(herniation through a defect of the broad ligament of the uterus)は内ヘルニアの4〜5%を占めるにすぎないまれな内ヘルニアで,子宮広間膜の前葉と後葉を貫通するfenestra typeと,前葉または後葉の裂隙を通じて盲嚢を形成するpouch typeの2種類に分けられる.成因は不明である.CT所見は,拡張した小腸が骨盤腔内にあり,直腸およびS状結腸を背側に,子宮を前方に圧排する所見を呈する(1).Retrospectiveだがこの症例はS状結腸(S)が左背側へ圧排され,子宮が拡張した小腸(1,2とA,B)により前方へ圧排されており,子宮近辺でのclosed loopだから典型的な子宮広間膜異常裂孔ヘルニアである.岩佐らの本邦全国集計51例によれば,fenestra typeが48例でpouch typeは3例のみで,左右差はない.半数に嵌頓腸管の切除が行われている(2) .
1)Suzuki M, Takashima T, Funaki H, Uogishi M, Isobe T, Kanno S, Kuwahara M, Ushitani K, Fuchuh K. Radiologic imaging of herniation of the small bowel through a defect in the broad ligament.
Gastrointest Radiol. 1986;11(1):102-4.
2)岩佐和典, 斉藤貢, 北村秀夫, 三輪晃一 左子宮広間膜異常裂孔ヘルニアの1例
日本消化器外科学会雑誌 33巻8号 Page1544-1548. 2000
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