文献考察1)(LE25の文献を再掲):消化管内異物.
Stack LB, Munter DW. Foreign bodies in the gastrointestinal tract.
Emerg Med Clin North Am. 1996 Aug;14(3):493-521.
Management of foreign bodies of the gastrointestinal tract is not standardized among the various specialties and subspecialties of physicians who care for these patients. This article gives a true emergency department approach to the patient with an ingested or inserted gastrointestinal foreign body. Evaluation and management of the foreign body by location are presented. Controversial issues such as Foley catheter removal of esophageal foreign bodies, management of sharp objects in the stomach, and management of body packers and body stuffers are discussed. Examples of foreign bodies encountered by the typical emergency physician are demonstrated. PMID: 8681881 追記:鋭的異物(針,ピン,カミソリ,爪楊枝,魚骨,chicken bone)が胃を通過した後小腸と大腸で腸管穿孔を防ぐ2つの現象が起こる.鋭的な部分が粘膜に突き刺さると,その腸管は部分的に蠕動運動が止まる.食物残渣が引っかかり鈍的な部分が肛門側へ向いて抜けると蠕動運動が再開する.大腸では異物に便が全周性に付着し,異物は便塊の中央に位置する傾向がある.その2つの防御機構のおかげで鋭的異物でも手術を要する穿孔を起こす頻度は25%(15〜35%)程度である.その機構を障害する下剤は鋭的異物例には禁忌である.
文献考察2):魚骨による消化管穿孔271例. 術前に診断しえた魚骨による回腸穿孔の1治験例 過去10年間の魚骨による消化管穿孔271例の分析
Author:葉季久雄(慶応義塾大学医学部附属伊勢慶応病院 外科), 井上聡, 渡辺靖夫, 米川甫
Source:日本消化器外科学会雑誌(0386-9768)34巻11号 Page1640-1644(2001.11)
Abstract:57歳男.下腹部痛を主訴に当救急外来を受診した.右下腹部に圧痛,反跳痛,筋性防御を認め,腹部X線所見では圧痛に一致して約3cmの線状異物陰影を認めた.腹部CT所見では,左下腹部の拡張した腸管内に線状異物陰影を認めた.以上より,魚骨による消化管穿孔に伴う腹膜炎と診断し,緊急開腹術を施行した.手術所見では回腸部に発赤,腫脹,白苔の付着を認め,その内腔に魚骨状異物を触知し,健常部回腸壁から穿孔させ摘出した.術後の問診より,鯛のうしお汁を飲んだ既往があることが判明した.術後経過良好であった.過去10年間の魚骨による消化管穿孔例271例を分析した結果,229例に手術が行われ,術前に正診されていたのは51例(22.3%)であった.穿孔部位は,回腸,横行結腸,S状結腸に多くみられた. 追記:男女比は179:92と男性に多く,年齢分布は男性は50代に,女性は70代にピークを認め,50歳以上で全症例の85%を占めた.穿孔部位は食道50例,胃24例,小腸79例(28.6%),結腸・直腸94例(34.1%),肛門4例であった.151例に腹部単純X線,155例にCT,93例にUS(腹部エコー)検査が施行され,術後の検討を含め魚骨陽性例はそれぞれ,15.9%,60%,35.5%であった.術前に魚骨と診断された症例はそれぞれ,8.6%,31.6%,12.9%であった.死亡例は6例(2%).
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