右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ8 EXPERT COURSE 解答 【症例 RE 39】

巨大重複腎盂尿管.Duplicated megaureter.












嚢胞状の管状構造物図2の1〜図24のAは後腹膜に位置し,図14の30と図15のRが連結するとすれば腎盂から膀胱までつながるので拡張蛇行した尿管である.腎の造影効果に左右差はない.CTでは認識できないが,図27の造影CT後の腹部写真で正常な右腎と右尿管(↑)が描出されており,重複尿管(duplicatedまたはduplex ureter)と巨大尿管megaureter(megaloureter)である.重複腸管の診断で手術となったが,CT所見が確認され,巨大尿管を摘出した.病理:高度の拡張,蛇行があり,高度の鬱血と出血所見を認める.間質には浮腫,フィブリンの析出や炎症性細胞浸潤を認め,反復性の尿路感染症による変化と思われる.














文献考察:重複腎盂尿管
【腎臓症候群-その他の腎臓疾患を含めて】 先天性形態・位置・数の異常 重複腎盂, 三重複腎盂, 二分腎盂
  Author:西光雄(香川労災病院), 水野全裕, 二部野肇
  Source:日本臨床(0047-1852)別冊腎臓症候群 上 Page377-379(1997.06)
要旨:先天性に腎盂尿管が重複している状態を重複腎盂尿管といい,上部尿路系で最も多い奇型である.2個の独立した腎盂に続く完全に分かれた尿管があり,それぞれ独立の尿管口を有する完全重複腎盂尿管と,2本の尿管が途中で合流して(中部尿管に多い)1個の尿管口しかない不完全型重複腎盂尿管に分類される.まれだが3個の腎盂をもつ三重複腎盂尿管もみられ,やはり完全型と不完全型に分類される.不完全型は偶然発見されることが多く,一般に無症状で臨床的な意義は少ないが,完全型は頻度は少ないが閉塞,感染,尿管瘤,尿管異所開口,膀胱尿管逆流など多彩な病態を呈し,これらは手術の対象となることが多い.

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