文献考察:腸骨動脈瘤 孤立性腸骨動脈瘤手術例の検討
Author:佐久田斉(琉球大学 第2外科), 玉城守, 松原忍, 仲栄真盛保, 上江洲徹, 下地光好, 宮城和史, 鎌田義彦, 国吉幸男, 古謝景春
Source:日本血管外科学会雑誌(0918-6778)8巻7号 Page729-736(1999.12)
Abstract:孤立性腸骨動脈瘤手術例(9例18病変,全例男)の臨床的特徴を腹部大動脈瘤(AAA)症例(108例,男90例,女18例)と比較して検討した. AAA合併例では31例に腸骨動脈瘤(54病変)の合併を認めた.破裂の頻度は孤立性腸骨動脈瘤では2例,AAA例では12例に認め,うち2例は腸骨動脈瘤破裂であった.手術術式は,総腸骨動脈瘤(8)に対しては,全例に瘤切除と人工血管置換術を施行し,内腸骨動脈瘤(10)に対しては,瘤切除4例,瘤切除及び内腸骨動脈再建2例,流入・流出動脈結紮3例,ラッピングを1例に施行した.手術及び病院死はなく,両側内腸骨動脈を結紮した1例に麻痺性イレウス,他の1例に殿筋跛行を合併した.術後20〜136ヵ月の観察期間にて9例中3例に遠隔期死亡を認め,うち1例は術後26ヵ月に胸部大動脈瘤破裂により失った.孤立性腸骨動脈瘤は比較的まれな疾患であり,同時期のAAAに対する発生頻度は8.3%であるが,瘤径が3cm以下でも破裂例があるので,特に嚢状瘤の場合は積極的な手術が望ましい.内腸骨動脈瘤,特に両側性や下腸間膜動脈閉塞例では内腸骨動脈血行障害に留意すべきである.また他領域の動脈瘤を合併することがあり,全身の動脈硬化性血管病変の検索とともに危険因子の管理,長期経過観察が必要である.
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