右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ3 EXPERT COURSE 解答 【症例 RE 11】

絞扼性小腸閉塞(壊死).Strangulated obstruction with necrosis.









図1で肝臓周囲に腹水があり(※),拡張した右側小腸はgaslessで,図7〜図13で腸間膜の濃度上昇を認める(▲)ので絞扼性小腸閉塞を疑う(ER16の解説を下記再掲).closed loopであることを証明できれば確定診断となるので図16のAと1から追跡すると,図7の大文字Pと,図6の17はbeak signを示し(↑)閉塞する.図7と図8で虚脱した小腸(SB)があり,少し距離をおくが図9のaはbeak sign(↑)を呈して拡張し始め図3のzへ進展する単純閉塞の小腸でありclosed loopが証明された.壁の造影は単純閉塞の腸管と比べやや減弱しているが,壊死との診断は微妙な所見である.絞扼性小腸閉塞と正確にCT診断され手術となった.約40cmの回腸が索状物(band)により絞扼され壊死に陥っていた.










 腸管壊死.虚血のCT所見は,1)造影CTにて壁が造影されないまたは造影が弱い,2)単純CTにて壁が高濃度(出血性壊死),3)遊離ガス,4)SMVまたは門脈内ガス,5)壁内気腫(intramural gas),6)壁肥厚,7)大量の腹水,8)隣接する腹膜,腸間膜や後腹膜筋膜の充血・肥厚である.1,2と5が特異性が高い.
 絞扼性小腸閉塞のCT所見は,1)腸管壊死の所見,2)閉鎖ループclosed loop(腸管のloopが隣接する2点で締め付けられている状態で,近くに虚脱した2つの小腸,または虚脱した1つの小腸と単純閉塞の小腸の始点がある:図A),3)腹水,4)腸間膜の浮腫(濃度上昇),5)腸間膜血管の走行異常と静脈の怒脹,6)壁肥厚,7)gasless:腸管内にガスがないかあっても少量(断面面積の半分以下を目安)の7所見である.1と2が特異性が高いが,3〜7のうち3つ以上の所見があれば絞扼性小腸閉塞の可能性はかなり高い.

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