図2〜図7のガス(G)と図3〜図7の液貯留(※)は腸管ではなく,遊離ガスと腹水であり,図3〜図5では腹膜が造影され(白矢印)腹膜炎を示唆する.図17でも骨盤腔に腹水があり,腹膜が造影され(白矢印)消化管穿孔による腹膜炎を疑う.直腸とS状結腸は図17の1から図の番号順に進展する.図5〜図13の△部分は腸管壁を認めず,腸管外に漏出した糞便であり,図7〜図10の↑間は壁欠損部(wall discontinuity)と思われる.図6〜図12の▲は不整に強く造影される病変であり,悪性腫瘍すなわちS状結腸癌を強く疑う.従って診断はS状結腸癌より2,3cm口側での穿孔による糞便性腹膜炎である.手術でS状結腸癌を認め(図B:↑),癌部より2cm口側での穿孔を確認し(図A:▲),Hartmann手術を施行した.病理:moderately differentiated adenocarcinoma.
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