外傷(Trauma)シリーズ10 EXPERT COURSE 解答 【症例 TE 47】

腹部大動脈・両側総腸骨動脈解離.Dissection of abdominal aorta extending to bilateral common iliac artery.






図4〜図6で腹部大動脈の内膜剥離像(↑)が,図11〜図13では両側総腸骨動脈の解離像を認める(△).図7〜図9の腹部大動脈には異常を認めず別々の病変に見えるが,図Aと図Bの3次元再構築画像では連続性の解離であることがわかる(▲).限局性の解離であり,循環障害の所見はないため経過観察中である.








文献考察:blunt abdominal aortic injury
Stahlfeld KR, Mitchell J, Sherman H.
Endovascular repair of blunt abdominal aortic injury: case report.
J Trauma. 2004 Sep;57(3):638-41.PMID: 15454816
要旨:鈍的腹部大動脈損傷は2/3が急性期の状態で,1/3は後期合併症で来院する.損傷部位レベルは,IMA:33%,腎動脈:24%,IMAと総腸骨動脈分岐部間が19%.死亡率は18〜37%.閉塞症状が最も多い主訴である.内膜剥離から末梢への塞栓,SMA,腸骨動脈や下肢血管の虚血を起こす.脈を触れない,重度の虚血や増大する血腫は緊急な処置を要する.後期合併症として狭窄,仮性動脈瘤形成,塞栓,大動脈閉塞と破裂がある.

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