図1で遊離ガス(FA)が,図1の肝臓と脾臓周囲と,図13〜図16の骨盤腔内に腹水があり(※),消化管穿孔による腹膜炎の診断は容易だが,主訴が下腹部痛なので直腸・S状結腸の穿孔を疑い検索してみる.直腸からの追跡を図12の1から始めると,図12の9で次はどの腸管に連続するか迷うところである.図14の小腸ABはAとBとなり頭側へ上行するので図12のS状結腸9とは連続しないことを解決すればS状結腸は図11の10へU-ターンすることになる.図6〜図12の△は腸管外に排出された糞便であり,図8〜図11の▲が穿孔部で,壁の欠損部(不連続性discontinuity)を描出している.図10のS状結腸11〜図7の14は壁肥厚を呈しており,図12〜図8で糞石を含む憩室(↑)を認め,S状結腸憩室炎穿孔と診断する.図9の腸間膜のように糞便と接する腸間膜や後腹膜筋膜は充血肥厚し,腸管壁様に見えることがあるので注意を要する.図2のAAA(Abdominal Aortic Aneurysm)は腹部大動脈瘤.手術で便汁性の腹水が多量にあり,S状結腸に母指頭大の穿孔を認め,Hartmann手術を施行した.CTでも手術でもS状結腸憩室炎穿孔の所見であるが,病理報告はischemic necrosis of sigmoid colon with perforation.
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