外傷(Trauma)シリーズ9 RESIDENT COURSE 解答 【症例 TR 44】

腎損傷 II(H1)・仮性動脈瘤.AAST right kidney grade III.Pseudoaneurysm.








図3,図6と図7に腎損傷(↑)があり,図6〜図8でextravasation (△)を認め,腎周囲に血腫があるが,Gerota筋膜内の腎周囲腔に限局しており自然止血が期待できる.尿漏の有無はdelayed phase CTがないと判断できない.保存的に治療され下段の8時間後のCTではextravasationを認めず,血腫も増大していない.




20日後のCT(図17〜図20)で,図18と図19の▲は腎実質ではなく,仮性動脈瘤と解釈すべきである.4週間目のCTで仮性動脈瘤(▲)と診断され血管造影を行った.大動脈ほど濃染されないのはまだ時間的に十分に造影されていないためと思われる.血管造影で仮性動脈瘤が確認され(図Aと図B:↑)塞栓術を施行した.このように一見軽傷に見える損傷でも仮性動脈瘤が発生するので,注意深い経過観察が必要である.4週間後のCTで被膜下血腫が溶解,増大し,内圧が上昇し腎実質は圧排されている(△).Page kidneyと呼ばれる病態で,一時的な血圧上昇の原因となることがある.










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