図1〜図3で肝右葉に損傷(白矢印)があるが,周囲にextravasation,腹水,血腫や遊離ガスを認めない.右腎が図2〜図6の上極(↑)と図10〜図13の下極(▲)とに大きく離断され,深在性損傷の離断型(IIIb)である.周囲の液貯留は濃度が不均一で血腫である.図7〜図14の,腎実質(↑と▲)と重ならない△はextravasationと解釈するが,腎実質との鑑別は容易ではなく double phase CTがほしいところである.輸液を2000ml以上投与したにもかかわらず1時間後には血圧が低下し始めたので手術となった.右腎は中央部よりやや下極側で離断され,右腎静脈と動脈下極枝が断裂していた.術中も血圧は不安定で腎臓の温存は断念し摘出術を行った.肝損傷部からは活動性の出血は認めなかった.
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