図1で肝臓と脾臓周囲に腹水(※)があるが,胃液よりややdensityが高く血性であろう.図7と図8の↑,図13と図14の↑はextravasationで活動性に出血している.図3と図4の白矢印は周囲に血腫を伴いextravasationの可能性があるが,正常の血管との鑑別にはdouble phase造影CTが必要である.図4〜図6の石灰化像(C)は大動脈より高濃度を示しリンパ節の石灰化であろう.図2〜図12までの空腸(J)は壁肥厚を示し,図4〜図14の△は液貯留または脂肪組織の濃度上昇を呈し,遊離ガスを認めなくても空腸損傷を疑うべきである.図6〜図10の▲はガスを含むので腸管外に漏出した腸管内容物か,または壁の造影効果のない空腸と解釈する.従って腸間膜損傷による出血,空腸穿孔または虚血状態に陥った空腸と診断する.数時間後腹痛が増強し手術となった.Treitz靱帯から約40cmの部位で出血を伴う腸間膜裂創があり,また穿孔と,虚血に陥った約50cm長の空腸を認め,止血し空腸部分切除を行った.
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