図1〜図6で肝左葉に,図10と図11で肝右葉に損傷があるが,出血量は1000ml以下で,extravasationを認めず保存的に治療可能な所見である.図11〜図15に前傍腎腔に脂肪組織の濃度上昇(△)があるので膵臓に注目すると,図10〜図13の↑,特に図11と図12の↑間は血腫の貯留であり,完全断裂を示している.8mmスライスのCTだが,これだけの幅の断裂像だとERPは不要で,即手術の適応と考える.胃と膵臓間に液貯留(図10:※)と脂肪組織の濃度上昇(図11:▲)も膵損傷を裏付ける.T:膵尾部,B:体部,H:頭部,Du:十二指腸.CTで正確に診断されERPなしで手術となった.門脈左縁での膵完全断裂を認め膵体尾部・脾臓合併切除を施行した.
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