図1〜図3に肝損傷(白矢印)があるが,周囲に腹水,血腫やextravasationを認めずminor injuryである.図4〜図9は右腎損傷を示しているが,extravasationを認めない.図5〜図9の※は腎被膜外でGerota筋膜内の腎周囲腔の液貯留(または血腫,漏出尿)で,腎損傷由来と考える.図3〜図9の十二指腸周辺の△は液貯留と脂肪組織の濃度上昇であり,十二指腸背側は前腎傍腔の所見であるが,腎損傷によるものと断定せず十二指腸損傷がないかを検索することが大事である.図5〜図7で十二指腸(Du)前方に遊離ガスを認め(↑),図6の▲は壁欠損像(wall discontinuity)と思われ,十二指腸下行部前壁の穿孔と診断する.手術で十二指腸下行部前壁に1cm大の穿孔を認め,穿孔部をデブリードメント後十二指腸空腸吻合術が施行された.
|