大量の腹水があるが,図13でdensityが計測されており,CT値が37HUと高いことから血液(>30)であり,大量の腹腔内出血と診断する.出血量は図2の肝周囲で200,脾臓周囲に200,図5の右傍結腸溝で400,左傍結腸溝に150,図8の小腸間に200,図12の骨盤腔内に300で,合計1450mlとなる.図3でIVCが平坦になっており重度のhypovolemiaを意味する.出血部位は,図6〜図8の▲はdensityが高く血腫と思われ,図5〜図10の△はextravasationであり小腸間膜からの活動性出血を示している.手術で活動性出血を伴う2ヶ所の腸間膜裂創を認め,止血・小腸切除を行った.手術後全出血量は2500mlであった.患者の状態が出血多量で不安定な場合はFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)で診断し,CT検査なしで手術できる体制をとってほしいものである.
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