文献考察:十二指腸損傷の早期診断にはCT検査を経時的に繰り返し行うことが大事. 鈍的外傷による十二指腸損傷の3例
Author:和久利彦(セントラル病院 外科), 渡辺和彦, 冨岡憲明, 高木英幸
Source:日本臨床外科学会雑誌(1345-2843)65巻2号 Page395-399(2004.02)
Abstract:8歳女.転倒し腹部を打撲した.再検の腹部CTで,腹腔内遊離ガス像,腹腔内液体貯留像,十二指腸の壁肥厚像を認め,受診後11時間で緊急手術を施行した.球部から下行脚にかけて5.5cmの破裂を認め,高度狭窄のため胃空腸吻合を追加した.症例2:53歳女.ハンドルで腹部打撲した.再検の腹部CTで後腹膜腔内ガス像を認め,更に十二指腸造影で造影剤の漏出を認めたため受傷後10時間で緊急手術を施行した.下行脚から水平脚への移行部の完全離断を認め,十二指腸端々吻合を行った.症例3:17歳男.野球の練習中に腹部を強打し,腹部CTで腹腔内遊離ガス像を認め,受傷後3時間で緊急手術を施行した.球部前壁に2cmの破裂を認め,単純縫合閉鎖した.いずれの症例も術後経過は良好であった.早期診断には腹部CTを経時的に繰り返し行うことが大切である.また受傷後24時間以内で膵損傷がないII型症例は,単純縫合閉鎖及び経鼻胃管チューブによる減圧,十二指腸-十二指腸端々吻合及び経鼻胃管チューブによる減圧で十分と考えられた.
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