文献考察:十二指腸損傷
Jurkovich GJ,Bulger EM.34.Duodenum and Pancreas,In.Trauma.4th ed.709-734.2004 Appleton & Lange,Connecticut,USA 要旨:十二指腸には1日に2500mlの胃液,1000mlの胆汁,1000mlの膵液,800mlの唾液の計5l以上の消化液が流入する.消化酵素を大量に含有するから縫合不全が起こりやすいと言われ,一度縫合不全を起こすと大量の消化液の流出のため治療は困難を極める.十二指腸損傷の約80%は単純閉鎖で十分な”mild injury”で,20%は”severe injury”で種々の複雑な手術法を要する.mild injuryとは,刺創,大きさは壁全周の75%以下で,部位がD3(水平部)とD4(上行部),受傷後手術までの時間が24時間以内,総胆管の損傷を合併していないもので,死亡率は6%.severe injuryとは,鈍的または銃創による十二指腸穿孔で,大きさが壁全周の75%以上,部位はD1(球部)とD2(下行部),受傷後手術まで24時間以上経過している例,総胆管の合併損傷を伴う例で,死亡率は16%である.
|